3Dスキャンをフィギュア制作に活用!簡単な手順をご紹介
3Dスキャナーを使うと、好きな人物像や形状をモデルにして、簡単にフィギュアを制作できます。なぜなら3Dスキャナーを使用するだけで、3Dプリンターに出力するデータを簡単に作成できるからです。
本記事では、フィギュア制作の方法や3Dプリンター用データの作り方、おすすめの3Dスキャナーについて解説します。
フィギュアの作り方
フィギュアを作るためには、3Dプリンターで造形する必要があります。したがって、3Dプリンターで正しく出力するための「3Dデータ」が欠かせません。
3Dデータは、造形したい形状を設計した三次元のデータです。インターネット上で無料配布されているデータもありますが、好みの形状を自由に設計したい方は、自分で作成すると良いでしょう。
3Dデータの作成方法には「3DCADソフトの使用」と「3Dスキャナーの使用」の2パターンがあります。それぞれの作成方法について、詳しく解説します。
3DCADソフトを使用
3DCADソフトを使用すると、任意形状の3Dデータを作成可能です。簡単な形状であれば、高価な3DCADソフトを購入する必要はありません。無料で利用できる3DCADソフトもあり、パソコンで手軽に使用できます。直感的な操作で3Dデータを作れるため、シンプルな形状のフィギュアを作りたい方に向いています。
主な無料3DCADソフトは、以下のとおりです。
- 123D Design
- Tinkercad
- SketchUp
- Sculptris
- Meshmixer
<<【参考記事】3Dプリンターのデータ作成におすすめのフリーソフトをご紹介!
ただし複雑な形状を作りたい場合や、便利な機能を使いたい場合は有料3DCADソフトが適しています。また、下記3つのうち「ハイエンドCAD」と「ミッドレンジCAD」に該当する場合は、有料3DCADソフトを使うと良いでしょう。
- ハイエンドCAD:グラフィック性能や精度が高い3Dデータ
- ミッドレンジCAD:精度はハイエンドCADに劣るが、複雑な設計でも対応できる3Dデータ
- ローエンドCAD:フリー3DCADソフトで作成できるシンプルな3Dデータ
有料3DCADソフトを使う場合は費用がかかるだけでなく、CADの知識が必要です。フィギュア制作のために、短期間で知識を習得するには労力がかかってしまいます。
3Dスキャナーを使用
時間をかけずに3Dデータを作成する方法が、3Dスキャナーの使用です。モデルとなる対象物を3Dスキャンするだけで、フィギュアのデータを簡単に作成できます。
さらに、3DCADソフトで作成したデータに比べて、表面を滑らかに描けるメリットもあります。例えば、人間をモデルにフィギュア制作する場合、皮膚の表面状態も細かくスキャンできるので、滑らかな曲線を描いた自然なデータを作成可能です。
フィギュア制作に役立つ3Dスキャナーの仕組みについて、これから解説します。
3Dスキャナーの仕組み
3Dスキャナーとは、対象物をスキャンすることで、簡単にデータ化できる装置です。レーザーやセンサーを照射し、表面の凹凸を感知してデータへ変換します。3Dスキャナーでスキャンしたデータは、点群データとして読み取った後、集合データ「メッシュデータ」へと変換。このメッシュデータが最終的に、3Dデータとして利用されます。
3Dスキャナーのスキャン方法は、接触式と非接触式の2種類です。接触式では高精度に表面状態を計測できますが、測定時間が長くなるのがデメリットです。
また、凹凸が激しい表面を測定する際、探針(プローブ)と接触しにくい懸念があります。
一方で非接触式は、複雑な形状でも高精度でスキャンできることがメリットです。非接触式は、据え置きタイプとハンディータイプがあります。据え置きタイプでは主に室内で使用し、高い精度でスキャンできますが、屋外では測定できないことに注意が必要です。
ハンディータイプは屋外でも使用でき、手軽にスキャンできるメリットがあります。ただし、手ブレによって精度が劣る可能性があるため要注意です。
3Dスキャンで重要な要素
3Dスキャンで重要な要素は、次の3つです。
- 高精度
- 高解像度
- 手軽さ
それぞれの要素について解説します。
高精度
3Dスキャナーのスキャン精度が高いほど、フィギュアのモデルに近いデータを得られます。特に人間をモデルにするなど、複雑な形状を制作したい場合は、精度が高い3Dスキャナーを選ぶと良いでしょう。
高解像度
解像度はデータの鮮明度に大きく影響します。低い解像度でスキャンしたデータは、輪郭がぼやけてしまいます。鮮明なフィギュアに仕上げたい方には、解像度の高い3Dスキャナーがおすすめです。
手軽さ
手軽に使用できる3Dスキャナーを選ぶことも重要です。例えば、フィギュアのモデルが小型であれば、据え置きタイプで問題ありません。しかし、屋外でスキャンする場合や据え置きタイプでスキャンが難しい形状の場合、ハンディータイプの使用が効果的です。
低価格で高精度に計測できるおすすめの3Dスキャナーには、有線ハンディータイプの「IREAL2E」があります。
複雑な形状でも高速でスキャンできる特徴があり、1秒あたり1,500,000点を計測できます。また、カラーモジュールが内蔵されているので、高い解像度でカラースキャンできることが特徴です。価格は547,800円(税込)と、工業用レベルのハンディー型3Dスキャナーの中では低価格で販売していますので、導入を検討されている方はぜひご覧ください!
また、scantechでは「三次元測定の受託サービス」を提供しています。全国どこでも出張可能で、法人だけでなく個人の方へも対応しています。
実務経験に豊富なエンジニアが伺うので、スキャンにお困りの方はお問い合わせください。
3Dプリンター用データ作成の注意点
3Dプリンター用データを作成する際、以下の3点に注意しましょう。
- 使用する3Dプリンターで出力できるか
- データに穴が開いていないか
- データに穴が開いていないか
使用する3Dプリンターで出力できるか
使用する3Dプリンターによって、出力可能なデータのファイル形式(拡張子)は異なります。
データ作成後に拡張子を確認し、3Dプリンターで正しく造形できるようにしましょう。
データに穴が開いていないか
正しく3Dスキャンできなかった箇所は、穴が開いた状態になります。そのまま出力すると、フィギュアにも影響するため「穴埋め」で穴をふさぐ補正が大切です。
データは滑らかであるか
3Dプリンターで造形する前に、データが滑らかであることを確認します。3Dスキャンで得られたデータが角ばっていると、フィギュアの表面が不自然になります。
細かい凹凸を目立たないようにするため、3DCADソフトで補正して滑らかなデータにモデリングしましょう。
3Dスキャンを使ったフィギュア制作手順
3Dスキャンを使ったフィギュア制作手順について、6つのステップで解説します。
- 3Dスキャンでデータを用意
- データを調整
- 出力用データに変換
- 3Dプリンターにデータを転送
- 3Dプリンターで造形
- フィギュアに塗装
それぞれのステップの注意点など、詳しく確認しましょう。
3Dスキャンでデータを用意
手軽に3Dデータを取得するため、3Dスキャナーを利用します。人間をモデルにする場合、簡単にスキャンできるハンディータイプがおすすめです。
モデルとする対象物の全体像データを得るため、360度すべての角度から3Dスキャナーでスキャンします。このとき漏れがないように、くまなくスキャンすると良いでしょう。小型のものをモデルにする場合は、台に置いてスキャンするのがおすすめです。
データを調整
読み取った直後は、各データが点在しているため、メッシュデータに結合する作業が必要です。また、スキャンできなかった箇所は、穴埋め補正して形状を整えましょう。さらに、形状が角ばっている箇所は滑らかに調整します。
このほか、フィギュアを3Dプリンターで造形する際、造形プレートとの隙間を埋める「サポート」を付けて作製します。サポートがない状態で造形すると、フィギュアと造形プレートとの隙間ができてしまい、狙った形状に仕上げられません。
出力用データに変換
作成したデータを3Dプリンターで出力するため、出力用データへ変換が必要です。パソコンで使用する3DCADソフトから、出力用データに変換できます。データの種類は、使用する3Dプリンターに対応するファイル(STLデータなど)で保存します。
3Dプリンターにデータを転送
出力用データを作成した後、使用する3Dプリンターに転送しましょう。パソコンと3DプリンターをUSBケーブルで接続する方法や、USBメモリから直接アップロードする方法があります。
データの拡張子が対応していれば、正しく認識され造形準備は完了です。
3Dプリンターで造形
使用する3Dプリンターの手順に沿って、造形を開始します。サポートを付けて造形する場合は、少なくとも最初の数層分が出力できているか確認しておきましょう。造形で失敗した場合は、造形条件の見直しやフィギュアの配置変更などを行い、改善して再チャレンジします。
造形後、3Dプリンターからフィギュアを取り出し、サポートを切り離しましょう。サポート付着部分は粗くなっているため、紙やすりを使って表面を滑らかにします。粗さ320番の紙やすりで形状を整えて、最終的に400~800番を使用すると滑らかに仕上がります。最後にフィギュアを洗浄して、研磨くずを取り除くと良いでしょう。
フィギュアに塗装
フィギュアの洗浄後は、塗料を用いて塗装します。基本的には、下地の色をパーツ全体に塗装します。モデルの色に合わせて下地の色に塗り重ねると、フィギュアに立体感を生み出すことが可能です。
3Dスキャナーを用いたフィギュア制作に関するよくある質問
最後に、フィギュア制作に関するよくある質問を紹介します。
フィギュア制作におすすめの3Dスキャナーは?
フィギュア制作におすすめの3Dスキャナーは、高精度かつ高解像度を備えた機種です。精度や解像度が低いと、フィギュアの輪郭が不鮮明になる可能性があります。また、人間をモデルにする際はハンディータイプがおすすめ。据え置きタイプでは、大きい対象物をスキャンすることは困難です。
中でも「IREAL 2E」は、複雑な形状でも高速でスキャンできるうえ、カラーモジュールが内蔵されています。したがって、高い解像度で素早くカラースキャンできます。scantechで無料デモを実施しているため、購入を検討している方は気軽にご相談ください。
フィギュアを自作できますか?
家庭用3Dプリンターを使って、フィギュアを簡単に自作できます。3Dプリンターで出力するためには、3Dデータの用意が必要です。
3DCADソフトでデータを作ることもできますが、3Dスキャンを使用すると手軽にデータが得られます。CADの知識を使わずに、簡単にデータを準備したい方へおすすめです。
まとめ
3Dスキャナーを使うことで、自宅でもフィギュアを制作できます。モデルに近いデータを作るために、高精度かつ高解像度の3Dスキャナーがおすすめです。
低価格で使用できる3Dスキャナー「IREAL 2E」は、高速でカラースキャンできる特徴があります。優れた3Dスキャナーを使用して、精度の高いフィギュアを制作してみてはいかがでしょうか。