東芝水力発電の設備検査に3Dスキャナー「TRACKSCAN-Sharp」を用いた事例
この記事では、水力発電設備メーカーの東芝水力発電が、3Dスキャナー「TRACKSCAN-Sharp」を用いて、製品検査を行った事例についてご紹介します。日本の東芝と中国の電力建設公司の合弁会社である「東芝水力発電(杭州)有限公司(THPC)」は、水力発電設備のメーカーで、世界中の顧客に最先端の製品を提供するために、新技術の「3Dスキャナー」を検討しています。
同社は長年水力発電の事業に携わっており、特に水力発電設備の設計・開発・製造において、新技術の開発と高度な製品の提供に取り組んでいます。
水力発電は再生可能でクリーンなエネルギー源であり、化石燃料の依存を減らし、エネルギー安全保障を強化できるなど、社会や環境に対してさまざまなメリットがあります。そのため、水力発電設備の品質を向上させることは、再生可能エネルギー源のメリットを最大限に活かすことに繋がります。
水力発電産業は急速に成長しており、この産業で使用される大規模な設備には多額の投資とメンテナンス費用が必要になります。水力発電機器メーカーは、設計から製造までを一貫して行い、コストの削減と効率を向上させ、製品の信頼性を高めることが重要です。
以下の動画は、大手企業・東芝水力発電(杭州)有限公司の佐藤氏が、製品検査でSCANTECHの3Dスキャナー「TRACKSCAN-Sharp」を用いたことによるメリットについて語っていただいたものです。
佐藤氏は、TRACKSCAN-Sharpを導入された感想を以下のように語っています。
「TRACKSCAN-Sharpは、最大6メートルのトラッキング距離があり、同類の製品のなかでもかなり優れていると思います。測定範囲が広くなれば、測定中のトラッカー移動の回数を減らせるため、大型部品の3次元データが短時間で取得できることになります。また、TRACKSCAN-Sharpは軽量で、携帯しての操作が容易です。設置面積が小さく、計測時の空間要求が高くないため、工場での製造時だけでなく、建設サイトでの組み立てなど、適用シーンが広がります。精度が高く、計測データが信頼できる点にも注目しています。TRACKSCAN-Sharpは、当社がお客様の要求を満足するために、製造・管理のソリューションに貢献してくれるものと思います。」
水力発電設備メーカーが部品の改善を目指す目的
ここからは、水力発電設備メーカー「東芝水力発電」にどのような目的があり、3Dスキャナーを役立てたのかについてご紹介します。
今回の事例では、高い容量・速度・効率を得るための、よりよい設備の開発を目的としています。
運用中にさまざまな影響を受ける水力発電設備は、大規模かつ複雑な部品で構成されています。影響を受ける要因は、振動・湿度・温度・酸やアルカリでの腐食などによるものです。
水力発電設備に、質の高い部品を用いれば、設備の性能や寿命、および水力発電ユニットの効率的かつ安定した動作が得られるようになり、水力発電設備メーカーは最大限の利益を獲得できます。
東芝水力発電は、より多くの利益を得るため、水力発電設備の製品検査に3Dスキャナー「TRACKSCAN-Sharp」を導入しました。
3Dスキャナーが水力発電設備の検査にどのように役立つか
水力発電設備検査は、従来の測定方法だと効率が悪く、多くの人手が必要で時間がかかるなどの問題がありました。また、解析するための高精度の測定データも取得できません。
設計者は、高精度の測定データがないと、機器の動作状態を予測したり評価したりすることができないため、従来の測定方法によりデータが不足してしまうと、その後のメンテナンスや修理の参考として活用しにくくなってしまいます。
高度な3Dスキャン技術は、製品設計、生産からメンテナンスまで、水力発電メーカーに多くのソリューションを提供します。SCANTECHの光学3Dレーザースキャナー「TRACKSCAN-Sharp」を用いれば、設備の非破壊検査を行えるため、品質の確認が可能です。高品質な水力発電設備は、耐用年数が長くなるほか、稼働効率の向上にも寄与します。
光学トラッキング式3Dスキャンシステム「TRACKSCAN-Sharp」のメリット
ここでは、光学トラッキング式3Dスキャンシステム「TRACKSCAN-Sharp」のメリットについてご紹介します。
簡単かつ広範囲の測定が可能
TRACKSCAN-Sharpの光学トラッキング式3Dスキャンシステムは、2,500万画素の産業用カメラと49㎡の空間測定範囲を備えており、高解像度かつ広範囲の測定を実現します。また、トラッカーを頻繁に移動させることなく、長距離・広範囲のデータを収集できるのもポイントです。
これにより、大型水力タービンの羽根や揚水発電ユニット、発電機線材などの大型部品の測定に適しています。
さまざまなシーンに対応した高精度測定
TRACKSCAN-Sharpの光学トラッキング式3Dスキャンシステムは、高機能のハードウェアと優れた演算により、広範囲かつ高精度の測定を実現します。
体積精度は、10.4㎥の範囲のトラッキング距離での測定が0.049mm、28.6㎥の中距離でのトラッキング距離の測定が0.067mm、49.0㎥の遠いトラッキング距離での測定が0.089mmの値になります。
これらの優れた仕様により、水力発電設備の中型から大型までの、さまざまな部品の詳細を簡単にスキャンできます。
正確かつ効率的な 3Dスキャン
TRACKSCAN-Sharpは、ターゲットマーカー不要で部品全体をスキャンできるため、マーカーを貼り付けたり取り外したりする時間を削減できます。また、複数の部品を同時にスキャンすることも可能で、測定効率の向上が期待できます。
リアルタイムでの検査や解析に対応
TRACKSCAN-Sharpは、リアルタイムでデータをキャプチャー・解析・保存できる便利な3Dソフトウェアを有しています。
ソフトウェアでは、水力発電設備の部品をスキャンして得た点群データを処理し、カラーマップの作成も可能です。また、アーカイブとして3Dデータをデータベースに保存することもできます。
さらに、部品の状態を正しく評価することが可能で、高品質の製品を提供します。
まとめ
SCANTECHの3Dスキャナーおよび3Dソリューションは、水力タービンの油圧ガイドベーン、鋳物製のタービン、石油やガスのパイプライン、風力発電のフランジの検査など、エネルギー工学の分野で幅広く活用されており、多くのエネルギー企業がデジタル化や製品のアップグレードを実現するのに役立てられています。
SCANTECHでは、3Dスキャナーや3Dプリンターの実機を見たり触ったりしたい方向けに、大阪と東京でショールームを開催しています。ショールームでは、お客様の業務内容に合う機器をご提案いたしますので、ぜひお気軽にご利用ください。ショールームの参加を希望する方は、以下のページにあるフォームからご予約をお願いいたします。