自動化3Dスキャニングによる排気制御部品検査

排気制御部品検査における自動化3Dスキャニング活用
環境規制がますます厳しくなるなか、製造現場では排気制御部品の精密検査がこれまで以上に重要視されています。多くのメーカーはいまだに従来型の検査方法に依存しており、検査時間の長さや、人的要因による測定精度のばらつきといった課題を抱えています。
こうした背景から、より高速かつ高精度な検査プロセスの構築が強く求められています。
プロジェクトの背景と目的
本プロジェクトの対象となったのは、インドに拠点を置く大手ディーゼルおよび天然ガスエンジンメーカーです。同社は、酸化触媒、微粒子捕集フィルター(DPF)、選択触媒還元(SCR)技術など、排気ガス低減に不可欠な排気制御コンポーネントを製造しています。これらの部品は、有害排出物を抑制すると同時に、エンジンの信頼性を確保する重要な役割を担っています。
同メーカーでは、排気制御部品に対して厳格な寸法幾何公差(GD&T)および品質に影響する重要項目(CTQ)を確実に管理しながら、検査サイクルの短縮を実現する必要がありました。
検査対象は直径約300mmの未加工コンポーネントであり、高精度かつ短時間で完了する自動化されたマーカーレス3Dスキャニングシステムの導入が求められていました。
提案されたソリューション
SCANOLOGYはこれらの要求に応えるため、光学式トラッキング技術と協働ロボットを組み合わせた自動化3Dスキャニングシステムを提案しました。システム構成は以下のとおりです。
- 3Dスキャナー:TRACKSCAN Sharp光学式3Dスキャニングシステム
- 協働ロボット:Fanuc CRX 10iA
- 検査ソフトウェア:PolyWorks
- スキャンソフト:DefInsight-AM

TRACKSCAN Sharpは、高精度なマーカーレス測定を可能にする光学式3Dスキャニングシステムです。従来の参照ターゲットを用いた方式とは異なり、光学トラッキングによってリアルタイムで3Dデータを取得できるため、マーキング作業が不要となり、検査工程の大幅な簡素化を実現します。

プロセスフローと実装
検査プロセスは、データの完全性と検査効率を最大化することを目的として設計されました。
準備工程
検査対象部品は、360度からアクセス可能な高架治具にセットされます。これにより、部品表面の95〜100%を再配置なしで取得できる状態が確保されます。
協働ロボットによるスキャン動作
協働ロボットはTRACKSCAN Sharpを部品周囲で移動させるようにプログラムされ、部品全体をカバーする最適なスキャンパスを実行します。
データ取得
TRACKSCAN Sharpにより、約2分以内でSTL形式の全周3Dデータが取得されます。

検査と解析
取得したスキャンデータはDefInsight-AMによって処理され、PolyWorks上でCADモデルと比較されます。これにより、GD&TおよびCTQの評価が行われ、従来手法と比べてより高速かつ高精度な検査が可能となります。

開発中に直面した課題
プロジェクトの実行過程では、以下のような技術的課題が存在しました。
- 協働ロボットの動作範囲内で、複雑形状部品を完全にカバーするための最適な動作計画の策定
- 2分以内というサイクルタイム目標に対応するための、精度・速度・データ密度のバランス調整
- 多角度からのスキャンにおける死角の解消
これらの課題に対し、SCANOLOGYのエンジニアリングチームは検証と最適化を重ね、高い信頼性と効率性を両立した検査ワークフローを確立しました。
3Dソリューションの主な利点
SCANOLOGYの自動化3Dスキャニングシステムは、従来の検査手法や競合ソリューションと比較して、以下の明確なメリットを提供します。
・高速かつ効率的なスキャン
TRACKSCAN Sharpは81本のレーザーラインを使用し、最大600万点/秒の測定速度を実現。2分以内での全周スキャンを可能にします。

・マーカーレス操作
高度な光学トラッキング技術により、事前のマーキング作業が不要です。非接触・非マーキング方式のため、部品への損傷リスクもありません。
・統合されたワークフロー
協働ロボットとの連携により、検査準備からスキャン、解析までを一元化した効率的な工程を構築できます。
・高精度と信頼性
TRACKSCAN Sharpは、カメラベースのシステムと比較して高い測定精度(最大0.025mm)を実現し、信頼性の高い寸法検証を可能にします。

・短いセットアップ時間
迅速なセットアップと簡易なプログラミングにより、最小限の教育で現場運用を開始できます。
従来ソリューションとの比較
顧客は導入前に、他のカメラベースの自動化検査システムも評価していました。しかし、それらのシステムはGD&Tの厳密な検査要件を満たすには、精度・速度・効率性の面で不十分でした。また、セットアップ時間やサイクルタイムの長さも、生産ラインへの適合性を損なう要因となっていました。
これに対し、SCANOLOGYの自動化3Dスキャニングシステムは、速度・精度・操作性のバランスに優れたソリューションとして採用されました。
導入による成果と影響
本自動化ソリューションの導入により、顧客は以下のような成果を達成しました。
- 寸法管理精度の向上
- 検査サイクル時間の大幅な短縮
- プログラミングおよびセットアップ作業の簡易化
- 検査データ品質の一貫性向上
自動化3Dスキャニングは、排気制御部品のように高い寸法精度と再現性が求められる検査工程において、従来手法が抱えてきた課題を解決する有効なアプローチの一つです。
TRACKSCAN Sharpと協働ロボットを組み合わせた本事例では、検査時間の短縮と精度向上を両立し、安定したデータ取得と品質管理の高度化が実現されています。
検査工程の自動化やデジタル化は、単なる省人化にとどまらず、測定結果の信頼性向上や品質判断の標準化といった面でも大きな価値をもたらします。
本コラムで紹介した取り組みが、今後の検査体制や技術選定を検討する際の参考となれば幸いです。