自動車検査・車両デジタル化における3Dスキャニングソリューション活用
自動車産業では、設計から量産、品質保証に至るまで、あらゆる工程で高精度な検査が求められます。
対象は小型の樹脂部品から車両全体にまで及び、いずれも厳格な品質基準を満たさなければなりません。
近年では、検査精度の向上だけでなく、デジタルデータとしての活用や検査工程の効率化も重要視されています。
こうした背景のもと、3Dスキャニング技術は品質管理と車両デジタル化を支える手法として導入が進んでいます。
本コラムでは、自動車分野における3Dスキャニングの活用事例として、部品検査および車両全体のデジタル化の2つのケースを紹介します。
ケース1:Faureciaにおける高精度部品検査

企業概要と検査ニーズ
自動車部品サプライヤーであるFaureciaでは、車内インテリア部品や検査用テンプレートなどの寸法検証が求められていました。
これらの部品は形状が複雑で、機能面や外観品質に直結する重要な要素を持っています。
わずかな寸法誤差でも組付け不良や性能低下につながるため、設計データとの厳密な比較検証が不可欠でした。

測定上の課題
- 小型かつ複雑形状で高精度測定が必要
- 光沢・反射面が多く光学測定が不安定
- 生産を止めない短時間検査が必須
- 接触式測定では時間と工数が増大
従来手法では、速度・精度・運用性のすべてを満たすことが困難な状況でした。
導入ソリューション
ここで採用されたのが SIMSCAN 30 3Dレーザースキャナー です。

本システムは最大0.020mmの精度で測定が可能であり、1回のスキャンは約10分以内で完了します。
さらに、反射面でもスプレー処理を必要としないため、準備工程の削減にも貢献しました。
取得した3Dデータはカラーマップとして可視化され、CADモデルとの差異を直感的に把握できます。
これにより、設計偏差の特定や品質評価の迅速化が実現しました。

導入効果
- 複雑形状部品の迅速な測定
- 高精度な寸法検証
- 反射面の前処理不要
- 偏差の可視化による品質分析の高度化
ケース2:車両全体のデジタル化プロジェクト
プロジェクト背景
別プロジェクトでは、車両全体を高精度3Dデータとして取得する必要がありました。
外装・内装を含めた完全形状取得が求められた一方で、塗装保護の観点からターゲットマーカーの貼付は不可という条件がありました。
さらに、作業は1名のオペレーターで短時間に完了させる必要があり、効率性も重要な要件となっていました。

測定課題
- 車両全体を短時間で取得する必要
- 黒色内装など低反射面の取得難度
- 外装へのマーキング不可
- 高精度と作業効率の両立
提案された3Dスキャン構成
この要件に対し、以下の組み合わせが採用されました。
- TrackScan-Sharp 49
- SIMSCAN 42

TrackScan-Sharp 49は光学トラッキングにより広範囲を高精度に取得でき、外装スキャンを少ないポジションで完結させます。
一方、SIMSCAN 42は狭所や黒色面に強く、内装取得に適しています。

両データを統合することで、車両全体の高精度3Dモデルを構築。
結果として、1名体制・約1.5時間以内でのフルスキャンが実現しました。
導入効果
- 短時間でのフル車両データ取得
- 高精度3Dモデル生成
- マーカーレス測定による塗装保護
- 内外装を網羅した完全データ化
- スキャンポジション削減による効率化
自動車検査・車両デジタル化における3Dスキャンの価値
3Dスキャニングは、単なる寸法測定ツールにとどまらず、自動車開発・品質管理・デジタルアーカイブなど多様な分野で活用が進んでいます。
部品単体の高精度検査ではSIMSCANシリーズが有効であり、車両全体のデジタル化にはTrackScanシリーズとの組み合わせが大きな効果を発揮します。
これらの技術は、検査時間の短縮、品質評価の高度化、データ活用の拡張を可能にし、自動車製造におけるデジタル変革を支える基盤技術の一つです。
本コラムで紹介した取り組みが、自動車部品検査や車両デジタル化の現場での技術選定や運用検討の参考になれば幸いです。