人体3Dスキャンの用途とは?活用事例と作成手順を交えて徹底解説!
3Dスキャンの主な用途と言えば、既存の製品を3Dスキャンして開発に役立てる「リバースエンジニアリング」や、3Dスキャンによる製品検査などが挙げられます。これらは、製品を対象物とした用途ですが、3Dスキャナーは、専用の機器を使うことで、人体を対象としたスキャンも可能です。
この記事では、人体を3Dスキャンしたデータが、どのような用途で使われているのか、実際の活用事例を踏まえて解説します。また、SCANTECHで取り扱っている、人体スキャンに適した3Dスキャナー「IREAL 2E」についてもご紹介します。
人体スキャンの用途
人体スキャンの用途は以下のものが挙げられます。
- フィギュアの作成
- 医療やファッション分野のオーダーメイド品
- 人体の検査
- ゲームや映画の3Dアバター
3Dスキャナーは、高精度な機器を用いるほど、よりリアルなフィギュアを作成できます。高精度な3Dスキャナーと3Dプリンターを組み合わせて作成すると、微細な箇所でも表現が可能です。
医療分野においては、人体を3Dスキャンすれば、各々の身体に合う義手や義足などの製作に役立ちます。映画の分野では、俳優の体をスキャンして、視覚効果や3Dアニメーションを取り入れるなどの試みがされています。
現在の3Dスキャナーは、業務用として販売されているモノがほとんどですが、今後3Dスキャナーが個人でも導入できるレベルまで普及すると、自分や家族の足をスキャンして、専用のサンダルを作るといったようなDIYを楽しめるようになるとされています。
人体スキャンの活用事例
ここでは、人体スキャンがどのように活用されているかの事例についてご紹介します。
3Dスキャン検査|さつま骨格矯正鍼灸整骨院
さつま骨格矯正鍼灸整骨院では、3Dスキャナーを用いた人体の検査を実施しています。高品質の3Dスキャナーを採用しており、人体の歪みをしっかりと確認できます。
上図は頬から顎関節周りの3Dスキャンデータです。脂肪や筋肉量、顎関節の動きなどの影響から、はっきりと左右差が生じている例として紹介されています。
当院では、3Dスキャン検査を毎回同じ環境で撮影できるため、施術を受けたあとに、自分の体がどの程度改善されたかを、科学的に確認できます。目視と違って具体的な違いが比較できるため、施術の効果を実証する際に効果的です。
高速スキャンを実現した「SHUN‘X」の技術提供|株式会社VRC
株式会社VRCでは、わずか0.2秒で撮影できる3Dスキャナー「SHUN‘X」の技術提供を行っています。
SHUN‘Xの技術活用例として、「オートフィッティング機能」が挙げられます。こちらの機能は、SHUN‘Xを用いて人体と服の3Dモデリングを行い、データ上で服を着せ替えて、見た目の不一致がないかを確認できるというものです。
その他にも、人体スキャンによる、精度の高い採寸を行うことも可能。3次元のデータを取得しているので、採寸可能な箇所に制限がないのもポイントです。
人体スキャンデータの作成方法
3Dスキャナーは、人体のスキャンに適しているモノと、適していないモノがあるので、どの機器でも対応できるわけではありません。人体をスキャンするには、専用の3Dスキャナーが必要になります。
今回は人体スキャンデータの作成方法として、SCANTECHの「IREAL 2E」を用いた例をご紹介します。
IREAL 2Eは、スキャン精度0.1mm、最大解像度0.2mmの非接触式のハンドヘルド型3Dスキャナーです。本製品の特徴としては0.3mmピッチで高解像度なカラー点群やポリゴンデータが取得できることです。また、光源にはパターン光投影タイプ(赤外線)を採用しており、対象の凹凸を捉えることでスキャンデータを取得できます。
そのため、人物をスキャンする際に用いられたり、その他にもゲーム・CGモデリング・文化財のデジタルアーカイブ化などカラーの3Dデータで保存したい方におすすめの製品です。
IREAL 2Eの本体価格は547,800円(税込)で、100万円以上する3Dスキャナーとも同等の性能及び精度を発揮するため、コストパフォーマンスが非常に高いです。
・IREAL 2E の仕様
スキャンタイプ | ハンドヘルド(有線ハンディー型) |
光源 | 赤外線VCSEL |
屋外使用 | 可能(なるべく自然光を避けてください) |
スキャン範囲 | ①最適なスキャン距離:300~500 mm ②最も遠い距離(有効):280-1000 mm ③最大スキャン範囲:580×550 mm |
最大スキャン速度 | 1,500,000 点/ 秒 |
スキャン精度(ワンフレーム) | 最高 0.10mm |
スキャン解像度(点間隔) | 0.2~3mm |
稼働環境温度 | 0~40℃ |
インタフェース | USB 3.0 |
本体重量 | 850g |
本体サイズ |
140×94×258mm |
価格 |
547,800円(税込) |
それでは、人体スキャンデータの作成方法について、一連の流れを解説します。
3Dスキャンの準備
はじめに、3Dスキャンを行うために必要なモノを用意します。IREAL 2Eの人体スキャンで必要なモノは以下の通りです。
- 3Dスキャナー本体(IREAL 2E)
- 電源アダプター
- 接続ケーブル
- ライセンスキーのUSBドングル
- 校正パネル
- PC
- ソフトウェア
各種機器が用意できたら、3Dスキャナー本体をPCに接続するなどの設定をして準備完了です。
キャリブレーション
準備ができたあとは、正確に人体を3Dスキャンするために、3Dスキャナーのキャリブレーション(校正)を行います。
3Dスキャナーは、電源を落としてから再びスキャンすると精度が落ちてしまうので注意が必要です。3Dスキャナーの電源を入れて使い始める度に、毎回キャリブレーションすることを推奨しています。
3Dスキャン
キャリブレーションが完了したら、人体をスキャンしていきます。
3Dスキャンは、PCの専用ソフトウェアを確認しながら行います。データの必要な箇所全体をスキャンして、データの抜けがないかをチェックしながら作業を進めていきます。スキャンしたデータは点群データとして保存された状態です。このままだとCADソフト等では使いにくい状態のため、ソフトウェアからポリゴンデータに変換します。
IREAL 2Eでは、基本的にボタンのクリックだけで作業を進められるため、3Dスキャナーの操作に慣れていない方でも操作が簡単です。
取得できた3Dデータは、3Dモデリングソフトから、好みに合わせて編集が可能。これで人体の3Dスキャンは完了です。3Dスキャナーの具体的な操作方法や、データ補正についても知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。
<<3Dスキャナーの使い方の完全ガイド!操作方法からデータ補正まで解説
人体スキャンに関するよくある質問
ここでは、人体のスキャンに関して、お客様からよくいただくご質問に回答いたします。
IREAL 2Eは顔に向けても大丈夫ですか?
IREAL 2Eは、光源にLED照明および赤外線を使用しているので、顔に向けてスキャンしても問題はありません。
スキャンの際は3Dスキャナーから光が生じますが、まばたきの回数を抑えていただくと正確な顔のデータを取得しやすくなります。
人体スキャンしていると、上手く形状を取得できません
ハンディ型(非接触式)の3Dスキャナーは、表面粗さの小さい(凹凸の小さい)対象物をスキャンしたとき、上手くデータを取得できないことがあります。
このようなトラブルは、対象物に凹凸形状を設けることで改善が期待できます。具体的な解決方法として以下をお試しください。
1.対象物の周りや表面に凹凸形状を付けてスキャンする。
2.対象物にマーカーポイントを貼ってスキャンする。
上記の方法で解決しない場合は、他のトラブルシューティングを確認してみてください。どうしても問題が解決しない場合は、購入した販売店までご相談ください。
人体スキャンの一連の流れについて教えてください
大まかな一連の流れはこちらです。
1.3Dスキャナー本体をPCに接続する
2.専用ソフトを開いてキャリブレーションを行う(ドングルキー必須)
3.人物をスキャンする
4.取得したスキャンデータをポリゴンデータに変換する
5.最適なデータ形式を選択する
各作業の詳細について知りたい方は、お問い合わせください。
まとめ
人体スキャンは、フィギュアの作成だけでなく、医療機器やファッションアイテムのオーダーメイド品、ゲームや映画の3Dアバターなどで活用されています。
具体的な事例として、施術前と施術後の身体の変化を見るためのモノとして、整骨院で活用していたり、3Dアバターを作成して服のフィッティングを行ったりといった事例があります。
SCANTECHでは、人体スキャンに対応した3Dスキャナー「IREAL 2E」を取り扱っています。IREAL 2Eは、東京と大阪で開催しているショールームにて、実機をご覧になれますので、興味のある方はぜひご活用ください。