リバースエンジニアリングのために3Dスキャンができること

リバースエンジニアリングとは

リバースエンジニアリングは、バックワードエンジニアリングとも呼ばれる、製品の分解や解析をしてその仕組み・構造を明らかにするプロセスのことです。

この技術は、製品の新バージョンを作ったり、旧式の製品を改良したりするために使われます。
リバースエンジニアリングは、技術文書やCADモデルがない既存の製品を扱うエンジニアやデザイナーにとって、貴重なツールです。

リバースエンジニアリングの技術は、手作業による測定から3Dスキャンへと進化し、さまざまな可能性をもたらしています。

リバースエンジニアリング、ドローイングのイメージ図

リバースエンジニアリングにおける3Dスキャン

リバースエンジニアリングのための高性能な3Dスキャンは、レーザーやストラクチャードライトを使用して対象物の3Dデータを取得し、そこから形状や寸法に関する情報取得することが可能です。

3Dスキャンから、物体の表面を表す点群データを取得し、メッシュモデルに変換することができます。

バイクを3Dスキャンしている様子

測定方法の分類

スキャンする対象物のサイズ、複雑さ、精度要件、材料特性に応じて、リバースエンジニアリングで利用可能な測定方法にはさまざまな種類があります。

以下に、一般的ないくつかの測定方法を紹介します。

接触型 – プローブ

プローブとは、測定や実験などのために、対象物に接触または挿入する針のことです。
この針を使用して対象物の表面を測定し、座標を取得します。

接触型を使った測定は正確ですが、速度が遅く、デリケートな物や柔らかい物を損傷する可能性があります。

非接触型 – レーザー3Dスキャナー

リバースエンジニアリング用の非接触型のレーザー3Dスキャナーは、主に「レーザータイプ」と「ストラクチャードライトタイプ」の2つに分類されます。
レーザービームを対象物に照射することで、表面や対象物上の点の座標を取得することができます。

非接触型 – ストラクチャードライト3Dスキャナー

ハンディー型3Dスキャナーは、物体にパターンを投影し、カメラで表面の変形を記録します。

そのため、製品の幾何学的なディティール、色や質感を取得することができます。
非接触型の3Dスキャナーは、汎用性が高く、正確で、高速に3Dデータをスキャンできます。

対象物にダメージを与えることなく、広範囲での3Dスキャンが可能です。
これらの3Dスキャナーの中には、鏡面・黒色・透明な表面のスキャンに不向きなものもあります。

写真測量

異なる角度から撮影した複数の画像を使用して、対象物の形状を再構築する方法です。
写真測量は使いやすいですが、高画質な画像が必要で、細かなディテールは捉えられないこともあります。

SCANTECHのリバースエンジニアリング用産業用3Dスキャナー

3Dスキャナー「KSCAN-MARGIC」は、赤外線レーザーとブルーレーザーを1台に統合した、初めての製品です。

以下の5種類のモードに対応しています。

  • 広範囲スキャン(赤外線レーザー)
  • 高速スキャン(クロスブルーレーザー)
  • 高精度スキャン(平行ブルーレーザー)
  • ディープホールスキャン(シングルブルーレーザー)
  • 写真測量システム(グリーンレーザー)

高解像度の産業用カメラを2台搭載しており、細部まで高精度に3Dスキャンを行うことができます。
製造業、エネルギー、自動車、鉄道輸送などの業界のリバースエンジニアリングに適しています。

3DスキャンからCADモデリングまでのワークフロー

3Dスキャナーを使って対象物をスキャンしたら、編集、修正、分析、再現できるソフトを使ってリバースエンジニアリングすることができます。

3Dスキャナーを使った、リバースエンジニアリングの一般的な手順は以下の通りです。

1. 3Dスキャン

高精度なレーザー3Dスキャナーで製品を3Dスキャンし、点群をキャプチャします。

2. 点群処理

点群データからノイズ、異常値、不要な点を除去します。

3. メッシュ生成と最適化

点群データをメッシュモデルに変換し、CADソフトで管理しやすいようにメッシュを改良します。

4. サーフェス抽出

メッシュをCADソフトにインポートし、重要なサーフェスを抽出します。
メッシュモデルの検出された領域にフィットする滑らかなサーフェスを生成します。

スキャンモデルを基準として、スケッチ平面を迅速かつ正確に作成することができます。

5. ソリッドモデリングと再設計

特徴やパラメータなどを定義することで、サーフェスをソリッドモデルに変換します。
ソリッドモデルは、設計を改良するために使用・修正することができます。

3Dスキャナーを使用するメリット

複雑な形状をした部品の測定

3Dスキャンは、従来の方法では測定が不可能または困難である、複雑な形状をキャプチャするのに向いています。

レーザースキャンと非接触測定のおかげで、ハンディー型3Dスキャナーを使って、狭いスペースや手の届きにくい場所、ギアやタービンのような複雑なディティールを持つ部品の測定が非常に簡単になりました。

その結果、リアルな特徴を再現した完成度の高いモデルを作成することができ、既存の部品を基に新バージョンの製品を効率的に設計することができます。

創造性と革新性の強化

リバースエンジニアリングに3Dスキャナーを使用することで、創造性と革新性を高めることができます。既存の製品に基づいて、さまざまなアイデアや可能性を探ることができます。

例えば、3Dスキャナーで自動車をスキャンし、カーブを修正することで空気力学的な特性をデジタル上で改善することができます。

あるいは、3Dスキャナーで複数のオブジェクトをスキャンし、それらを組み合わせて新しいデザインを作ることもできます。
これにより、デザイナーは特定のニーズを満たすユニークな製品を作ることができます。

時間とコストの節約

リバースエンジニアリングに3Dスキャンを使用すると、従来の方法と比べて時間とコストを節約できます。

例えば、ノギスや座標測定機(CMM)を使って対象物を手作業で測定する代わりに、3Dスキャナーを使えば、対象物の表面上の何百万ものポイントを数秒で高精度にキャプチャできます。

これにより、エラーや手直しを減らし、設計プロセスをスピードアップすることが可能です。

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