スマホで利用できる3Dスキャナー3選!アプリの特徴や精度も紹介

 

3Dスキャナー スマホ

 

ほんの数年前までは、3Dスキャナーを利用するのに高性能かつ高価な機材を揃える必要がありました。しかし、最近はスマホで安価かつ手軽に3Dスキャナーが使えるようになっています。

では、スマホで利用できる無料3Dスキャナーにはどういった特徴や精度があるのか、今回の記事でご紹介します。同時に、スマホアプリとハンディ型スキャナの比較もしています。

スマホを使った3Dスキャナーの技術は2種類ある

一括りにスマホの3Dスキャナーといっても、活用される技術は2種類あります。

  1. フォトグラメトリー
  2. LiDARスキャン

どちらの3Dスキャン技術を用いて被写体を撮影しても、わずか数分で3Dモデルを完成させることができます。

上記2つの手法について、順番に説明していきます。

技術①:フォトグラメトリー

フォトグラメトリー

 

フォトグラメトリー(Photogrammentry)は、さまざまなアングルで撮影した被写体の写真を解析・統合することで立体的な3Dモデルを作成する技術です。

実は昔から存在する技術であり、主に測量、地形調査、史跡の保護といった分野で活用されてきました。近年では、3DGゲームにもフォトグラメトリーが使用されています。

3Dスキャナーのような専門的な機器を使うことなく、普通の写真だけで生成できることが大きな特徴です。通常、110枚ほどの画像データがあれば、小さなものから大きなものまで3Dモデルをデータ化することができます。

フォトグラメトリーに必要な機材と撮影方法

フォトグラメトリーに必要な機材は、以下のとおりです。

  • 専用のソフトウェア(アプリ)
  • スマホまたはパソコン
  • カメラ(スマホやパソコンに付いていない場合)

上記を揃えるだけで、お手軽に3Dデータを作成することができます。できればスマホやカメラは、高性能なものを使用しましょう。

フォトグラメトリーに向いているのは、以下のような被写体です。

  • 模様があるもの
  • 表面がザラザラしているもの

撮影方法は、被写体の全体が写るように注意しながら少しずつ角度を変更して撮影していきます。被写体に使用する台座もザラザラした場所が好ましく、撮影時は照明や反射などで色が飛ばないように気を付けながら撮ります。

技術②:LiDAR(ライダー)スキャン

LiDARスキャン(またはLiDARスキャナ)とは、「LiDARセンサー」という赤外線センサーの反射を利用して、被写体や地形の距離を読み取る技術です。LiDARは「Light Detection and Ranging(光検出と測距)」を略したものであり、被写体の造形を点で捉えてその点群データ(点の集合体)からメッシュデータを作成します。

仕組み自体は1960年代には誕生していて、1990年代には宇宙分野で活用されていました。近年では、自動運転技術などにも使われています。

LiDARスキャンに必要な機材と撮影方法

LiDARスキャンに必要な機材は、以下のとおりです。

  • スマホ
  • 専用アプリ

スマホのLiDARスキャン(主にiPhone)がスキャンしやすい被写体は、フォトグラメトリー同様に表面がザラザラしたものや模様のあるものです。加えて、形状があまり複雑でないことが好ましいです。苦手な被写体は、透明なガラスやプラスチックといった反射しないものです。

撮影ですが、アプリを起動させてスマホをゆっくりと動かして被写体を撮影しましょう。早く動かしてしまうと、3Dモデルに抜けやズレなどが生じてしまいます。LiDARスキャン使用時はCPUを最大まで使用するため、カバーがあると熱がこもるので注意してください。

フォトグラメトリーは高精度、LiDARスキャンは造形の処理が早い

フォトグラメトリーもLiDARスキャンも、最終的なアウトプットのデータ形式は同じです。

しかし、両者にはわずかな違いがあります。

【フォトグラメトリー】

  • 高解像度な3Dデータを作成しやすい
  • 広い範囲の3Dデータでもキレイに仕上がる

LiDARスキャンのレーザー光(スマホでは距離が短い)が届かないような広い範囲での3Dデータ化は、フォトグラメトリーが得意です。

【LiDARスキャン】

  • 処理能力が高く、手軽に3Dデータ化できる
  • 天候に左右されにくい

一方のLiDARスキャンは、レーザー光を「デバイスから発生させる」という特徴があることから、空が曇ったり日没で暗くなったりしても影響を受けにくいのです。

両者は競合する技術ではありますが、LiDARスキャンがフォトグラメトリーを補完する役割を果たすことも可能です。

いま注目のスマホで利用できる無料3Dスキャナーアプリ3選

・WIDAR:世界初の3D製作アプリ

・Polycam:初心者向けのアプリ(撮影までは無料)

・3D Scanner App:高精度な3Dスキャナー(iOSのみ対応)

アプリ①:WIDAR【世界初の3D製作アプリ】

WIDARは、世界初の3D制作アプリです。

大きな特徴は、「フォトグラメトリー(アプリ内での名称はPhotoスキャン)」と「LiDAR」のどちらの技術にも対応していることです。タップ1つで両者を切り替えられるので、被写体に合った技術を利用できます。

どちらも一定時間おきに自動でシャッターが切れるので、動画を撮影するように全方位から被写体を捉えることができます。

撮影データですが、Photoスキャンはクラウドサーバー上にアップロード、LiDARスキャンはスマホ内でデータをつなぎ合わせて3Dモデルを作成します。

アプリ②:Polycam【初心者向けのアプリ】

初心者向けなのが、Polycamです。

操作方法が明確なので、操作に不慣れな方でも使いやすいことが大きな特徴です。しかも、インターネット接続することなく3Dデータを作成することができます。

スキャン精度やテクスチャ解像度も高いので、クオリティ重視の方におすすめです。

ただし、エクスポート(書き出し)には料金が発生します。買い切りの場合は4,900円、月額課金の場合は450円です。同時に、課金すると点群ファイルの出力もできます。

アプリ③:3D Scanner App【高精度な3Dスキャナー】

3D Scanner Appは、無料で高精度な3Dスキャナーです。

撮影後に利用する編集機能が豊富であることも、大きな特徴です。

テクスチャ作成、メッシュのスムーズ化、リメッシュといった機能が揃っているほか、スキャンしたデータはクラウドサーバーにアップロードすることで、パソコンと簡単に共有できます。

スキャンからエクスポートまでの工程が少なく処理速度も早いうえ、解像度調整やマスク深度も調整できます。しかし、処理された実際のデータの解像度は高いとはいえません。

ちなみに、3D Scanner Appは一部のiPhoneおよびiPad Proにしか対応していないので、利用の際は注意してください。

3Dスキャナー搭載のスマホ(iPhone・iPad)

iPhoneやiPadの上位機種には、LiDARスキャナが搭載されています。

・iPhone12 Pro

・iPhone13 Pro

・iPad Pro(2020年発売以降のモデル)

上記の機種以外のiPhoneやiPadでは、3Dスキャナーを利用できないので注意してください。

ハンディ型3Dスキャナーは「IREAL2E」がおすすめ

ハンディ3Dスキャナー IREAL2E
IREAL2Eで人体スキャンしている様子

スマホアプリとハンディ型3Dスキャナーの違いは、精度と解像度です。

スマホアプリは、特別な機材を別途購入しなくても簡単かつ安価に利用できます。一方のハンディ型3Dスキャナーは機材は高額ですが、精度も解像度も高く被写体との誤差は少ないことが特徴です。手軽に3Dデータを作成するならスマホアプリ、本格的に3Dデータを作成するならハンディ型3Dスキャナーが向いています。

ハンディ型3Dスキャナーでは、SCANTECH製の「IREAL2E」がおすすめです。

IREAL2Eをおすすめする理由

IREAL2Eをおすすめする理由は、以下のとおりです。

  • 既存の3Dスキャナーよりも安価
  • 幅広い分野での使用に対応
  • 軽量でコンパクト

工業用のハンディ型3Dスキャナーの価格は100万円前後ですが、「IREAL2E」は547,800円(税込)と半値ほどで購入することができます。

利用できる範囲が広く、自分フィギュア、ファッション、文化遺産の保存、建築、研究、教育、史跡保全、老古学、整形外科、プロテーゼ、形成外科、義足義手、航空宇宙、品質管理、リバースエンジニアリングなどにも対応しています。

本体サイズ140×94×258mm、本体重量850gと軽量かつコンパクトであることも特徴です。

IREAL2Eの詳細はこちら

【IREAL2Eのスペック】

スキャンタイプ バンドヘルド(有線ハンディ型)
光源 赤外線VCSEL
安全性 Class1レベル
カラーモジュール 24ビット(標準搭載)
テクスチャスキャン 可能
屋外使用 可能(なるべく自然光を避けてください)
特殊なスキャン 透明や反射するモデル、または暗い物体をスキャンする場合は粉末スプレーが必要。
マーカーなしスキャン 特徴トラッキング、テクスチャトラッキング、混合トラッキング
ポートレートスキャン ①照明なしスキャン②ヘア(髪)スキャン(細かい形状向き)③暗い環境でスキャンをサポート④体の揺れや積み重ねを自動的に取り除く
アイテムのスキャン範囲 ①最適なスキャン距離:300~500m②最も遠い距離(有効):280~1000m③最大スキャン範囲:580×550mm
最大スキャン速度 1,500,000点/秒
スキャン精度(ワンフレーム) 最高0.10mm
スキャナ解像度(点間隔) 0.2~3mm
ドッキング精度 最高0.3mm/m
出力フォーマット OBJ,STL,PLY,ASC,SK
インタフェース USB3.0
本体重量 850g
本体サイズ 140×94×258mm

スマホ向け3DスキャナーのFAQ

スマホ向け3Dスキャナーのよくある質問は、以下のとおりです。

  1. スマホ向け3Dスキャナーにはどんな技術が活用されている?
  2. 無料で利用できるスマホ向け3Dスキャナーはある?

上から順番に見ていきましょう。

スマホ向け3Dスキャナーにはどんな技術が活用されている?

「フォトグラメトリー」と「LiDAR(ライダー)スキャン」、2つの技術がスマホ向け3Dスキャナーに活用されています。

大まかに説明すると、フォトグラメトリーは「高精度」、LiDARスキャンは「造形の処理速度が速い」という特徴があります。

無料で利用できるスマホ向け3Dスキャナーはある?

無料のスマホ向け3Dスキャナーには、「WIDAR」「Polycam」「3D Scanner App」などがあります。無料のスマホ向けスキャナーは手軽かつ安価に利用できる点がメリットです。しかし、精度や解像度ではハンディ型3Dスキャナーに軍配が上がります。

スマホアプリよりも高解像度なデータを取得されたい方は、お問合せください。

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まとめ

3Dスキャナー ショールーム
東京ショールームの様子

今回は、スマホで利用できる無料3Dスキャナーやその特徴、精度などをご紹介しました。

以下に、今回お伝えした内容をまとめました。

  • 3Dスキャナーには「フォトグラメトリー」「LiDARスキャン」2種類の技術がある
  • フォトグラメトリーは高精度、LiDARは造形処理の速度が速いという特徴を持つ
  • 無料で利用できる3Dスキャナー向けのスマホアプリがある
  • スマホアプリよりハンディ型3Dスキャナーの方が精度も解像度も高い
  • 業務用ハンディ型3Dスキャナーは幅広い用途で利用できる

高性能な業務用ハンディ型3Dスキャナー・SCANTECH製「IREAL2E」のほかにも、多種多様な3Dスキャナーを取り揃えています。

また、無料でIREAL2Eをお試しできるショールームを大阪日本橋・東京芝大門にご用意しています。IREAL2Eのデモ体験もできますので、興味のある方はぜひ遊びにきてみてください。ご検討中の方は、ぜひお立ち寄りください。

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