業務用3Dスキャナーの正しい選び方!おすすめの4つの機種をご紹介
3Dデータを活用する機会が増えてきており、業務用3Dスキャナーを導入する企業が増えています。3Dスキャナーには、どのような利用用途があるのでしょうか?どのような機種を選べばよいのでしょうか?
今回は、3Dスキャナーの正しい選び方をご紹介します。記事を読めば、精度や測定速度、アフターサポートなどの選定基準が分かるようになりますので、ぜひ最後までご覧ください!
業務用3Dスキャナーとは
3Dスキャナーとは、物体表面をスキャンして3Dデータを取得するための装置です。リバースエンジニアリング(※)や製品検査などに利用されています。
3Dスキャナーは1960年代に誕生して、製造業界で普及しました。1980年代にポータブル3Dスキャナーが誕生。現在は非接触型の3Dスキャナーが開発されるようになってきており、物体の凹凸など細部まで的確に計測できるようになってきました。
3Dスキャナーの精度が上がってきた結果、3Dデータを取得するための装置として、さまざまな業界・業種で活用されるようになってきています。
(※)リバースエンジニアリングは委託も可能です。委託サービスに興味をお持ちの方は「三次元測定の受託サービス」をご覧ください。
種類
業務用3Dスキャナーの種類は「接触方式」と「形態」により、以下のように分類できます。
接触方式 | 物体に接触してスキャンを行う |
非接触方式(光投影式) | 物体にパターン光を当てて投影されたパターンの歪みを基にデータ取得する |
接触方式(レーザー切断方式) | 物体にレーザー光を当てて、反射光を受け距離情報からデータ取得する |
・接触方式
接触方式は、物体に接触しながらスキャンを行います。物体に触れながらスキャンするため、非接触方式と比較すると精度は高いです。その一方で、物体の凹凸などスキャナーが入り込めない場所の読み込みを苦手としています。
・非接触方式
非接触方式は、物体に接触しないでスキャンを行います。物体の凹凸など接触方式のスキャナーが読み込めない箇所のスキャンが得意です。
また、物体の温度が高くて触れられない場合や接近できない場所に物体がある場合に使用されます。
非接触方式には「光投影式」「レーザー切断方式」があります。
(1) 光投影法
物体にパターン光を当てて投影されたパターンの歪みを基にデータを取得します。ハイスピードで正確なスキャンが行えますが、明るい場所だとパターン光が認識できなくなります。
(2) レーザー切断方式
物体にレーザー光を当てて反射光を受けて距離情報からデータを取得します。反射光を受け取るまで時間がかかりますが、明るい場所で計測できたり、3Dスキャナーが苦手とする光沢のある物体の形状も読み込めたりします。
タイプ
据置タイプ | 3Dスキャナーを固定して物体を読み込ませる |
ハンディタイプ | 3Dスキャナーを握り物体を読み込んでいく |
(1) 据置タイプ
据置タイプの3Dスキャナーは固定して、物体を読み込ませていきます。そのため、精度が高いですが、撮影位置や角度の変更などがしにくいです。
据置型タイプの3Dスキャナーは、物体をテーブルや台座の上に置いて、自動で回転させながらデータ取得する装置があります。
(2)ハンディタイプ
ハンディタイプの3Dスキャナーは、手振れなどで精度が落ちる恐れがありますが、物体を読み込んでいけます。サイズの大きな物体でも読み込むことができます。
利用用途
業務用3Dスキャナーの主な利用用途をご紹介します。
[業務用3Dスキャナーの利用用途]
- 製品設計:製品の3Dデータを取得して設計図を作成する
- 品質検査:3DCADデータと取得データを比較して品質管理をする
- 組立検証:3Dデータ上の製品を組み立てる際に問題が起きないかを検証する
- 修理・保守:3DCADデータと取得データを比較して変形や欠陥を発見する
- リバースエンジニアリング:製品の3Dデータを取得して再設計し直す
市場規模
株式会社グローバルインフォメーションの市場調査レポートによると、3Dスキャナーの市場規模は2021年に9億2,400万ドルになりました。CAGA(年平均成長率)は年間7.5%で成長し、2026年には13億2,400万ドルに達すると予測されています。
市場が成長している要因は、3Dデータに対する研究開発費の増加や製造会社の品質管理での使用などの機会が増えているためです。また、インダストリー4.0への需要の影響で市場が成長すると予測されています。市場規模から分かるように、業務用3Dスキャナーは、あらゆる企業に導入され始めてきているのです。
業務用3Dスキャナーの選び方
3Dデータ取得のために業務用スキャナーの購入を検討し始めた場合、どのような基準で製品を選べば良いか失敗しないために覚えておきましょう。ここでは、業務用スキャナーの選び方をご紹介します。
精度
3Dスキャナーの精度は、対象物のスキャニング効果を左右するものです。
カタログにも精度が記載されていますが、この数値はメーカー独自の環境下でテストした結果のため、参考程度に留めてください。3Dスキャナーの精度は、実際にデモをして比較・検討することをおすすめします。
SCANTECHでは3Dスキャナーの導入を検討されているお客様に対して、無料デモを行っています。もし、製品の精度や性能について知りたい場合は、無料デモをお試しください。
測定速度
3Dスキャナーの測定速度は、業務に大きな影響を与えます。そのため、カタログに記載されている測定速度を確認しましょう。
測定速度として、1秒当たりに何点の座標が取得できるかワンショットの処理時間が記載されています。この測定速度は精度や解像度により変わることもあります。
測定範囲
3Dスキャナーが測定できる対象物のサイズです。基本的に取得したデータをつなぎ合わせれば、大きなサイズの対象物も測定できます。しかし、つなぎ合わせていくと誤差が生じるため、普段測定したい対象物のサイズに合った3Dスキャナーを選ぶようにしましょう。
色の取得
3Dスキャナーの中には、対象物の色情報まで取得できるものがあります。
品質検査や修理・保守で3Dデータを取得する場合には色情報は不要ですが、製品設計や仮想組立では色情報が必要になります。そのため、色の取得ができる3Dスキャナーであるかを確認しましょう。
アフターサポート
業務用3Dスキャナーは高価なため、アフターサポートがあるものを選びましょう。メーカーの補償やサポート内容を確認しておけば、3Dスキャナーが故障したときも安心です。
また、メンテナンス性も重視しましょう。最近の3Dスキャナーはキャリブレーションできるものが多いため心配する必要はありませんが、念のために確認することをおすすめします。
おすすめの業務用スキャナー4選
ここからはSCANTECHで取り扱っている下記の3Dスキャナー4製品をご紹介します。
- マーカーなしでスキャン可能な「TRACKSCAN-P42」
- 写真測量機能を搭載した「KSCAN-MAGIC」
- わずか570gの工業測定可能な「SIMSCAN」
- 50万円台で工業用途としても利用可能な「IREAL 2E」
今回ご紹介する製品のカタログダウンロードはこちらから無料で一括ダウンロード可能です。
マーカーレスのハンドル型3Dスキャナー「TRACKSCAN-P42」
TRACKSCAN-P42は、マーカーレスで高精度な3Dデータを取得できるハンドル型3Dスキャナーです。そしてスキャナーを認識するスキャン認識トラッカー(カメラ)が装備されています。
この製品の最大の特徴は対象物にマーカーシールを貼らなくても測定できるということです。
従来のハンディ型3Dスキャナーは対象物にシールを貼って、スキャンする必要があったのですが、本製品の周りにマーカーシールの役割を担うターゲットが付いているため、マーカーなしでスキャンができます。
また、本製品には
- 高速スキャン(34本のクロスブルーレーザー)
- 高解像度スキャン(7本の平行ブルーレーザー)
- ディープホールスキャン(1本のブルーレーザー)
このの3つの作業モードを自由に切り替えられるため、さまざまなスキャン状況に対応できるため、製品設計や品質管理、リバースエンジニアリングなど幅広いニーズに応えられるスキャナーです。
下記の動画では「TRACKSCAN-P42」を使って、ベンツGクラスをスキャンして3Dデータを取得しましたので、どのようにすきゃんしているのか興味のある方はぜひご覧ください。
写真測量を搭載したハンディー型3Dスキャナー「KSCAN-MAGIC」
KSCAN-MAGICの最大の特徴は大きい対象物を測定する際に、より精度を高める写真測量という機能が搭載されていることです。そのため、1m以上の大きい対象物を精度よく測りたい場合に重宝される製品で、例えば車の外装や内装を広く測りたい時に利用されるお客様が多いです。
また、この製品も5種類のスキャンモードが搭載されているため、様々な用途に利用することができます。
わずか570gのハンディー型3Dスキャナー「SIMSCAN」
SIMSCANは重量が570gとハンディー型スキャナーの中で最軽量クラスの軽さを誇る3Dスキャナーです。
装置のサイズも203×80×44mmと500mlのペットボトルサイズの大きさなので取り回しが良く片手で使用できます。それゆえ、1m未満の対象物を測定する場合に重宝される製品で、エンジンルームや足回りなどの狭い場所や構造物の裏側や死角などでスキャンされる場合に利用されることが多いです。
また、本製品はスプレー(現像剤)無しで黒いモノや光沢物をスキャン可能です。
下記の参考記事では、SIMSCANを使って車のホイール(光沢物)をスキャンしている事例を紹介していますので、こちらもぜひ一読ください。
<<【参考記事】SIMSCANとは?3Dスキャナーで光沢物のデータを取得する方法まで解説!
50万円台で工業用途としても利用可能なハンディー型3Dスキャナー「IREAL 2E」
IREAL 2Eは、カラーモジュールが搭載されており、高解像度のカラーデータが取得できるハンドヘルド型ハンディ3Dスキャナーです。文化遺産保全や研究・教育分野、医療活動など幅広く利用されています。カラースキャンが可能なハンディー型3Dスキャナーとしては、シンプルな設計のため簡単に操作が行えます。
本製品の値段は54,7800円(税込)と、工業用途として利用可能な3Dスキャナーの中では最安値で、コスパの高い製品となっています。
業務用3Dスキャナーの導入事例
業務用3Dスキャナーは、どのように活用されているのでしょうか?次に、業務用3Dスキャナーの導入事例について一例をご紹介します。
プレス部品の自動検査
3Dスキャナーは、自動車のプレス部品の自動検査に活用されています。プレス部品の現物と3DCAD図面の「表面偏差」「穴径」「穴位置」「穴間距離」などを照らし合わせて検査・分析すれば、品質管理ができるようになります。
データを利用して品質管理をすれば、部品間の精度のバラつきの原因が特定できるようになり、製造工程の安定化が図れるのです。
新車種の設計
自動車の新車種の設計は、創造性と技術力が必要で設計図が完成するまで相当な時間がかかります。しかし、3Dスキャナーを利用すれば、さまざまな自動車の3Dデータを取得でき、点群データに変換できます。
変換した点群データを使用すれば、金型と部品のパターンを検証できるようになるのです。これにより開発設計工程が効率的になり、各モデルの違うバージョンをすぐに実演できます。
業務用3Dスキャナーに関するよくある質問
最後に業務用3Dスキャナーに関するよくある質問をご紹介します。
Q.業務用3Dスキャナーの価格はどれぐらいですか?
業務用3Dスキャナーは、精度や測定速度、測定範囲などの性能により価格が変動します。
どのような3Dスキャナーを購入するかで異なりますが、10万円で購入できる機種もあれば、300万円程度する機種もあります。
SCANTECHの中でも豊富な種類の製品を取り扱っていますが、その中で工業用途として利用可能な3Dスキャナー「IREAL2E」の販売価格は547,800円(税込)です。
Q.購入前に業務用3Dスキャナーのデモはできますか?
業務用3Dスキャナーのデモを歓迎しているメーカーは多いです。
その理由は、カタログに記載されている3Dスキャナーの精度は、各メーカーの開発環境下での結果だからです。お客様が利用する環境下で理想の精度が出せるかが重要です。
そのため、メーカーにお問い合わせをして、3Dスキャナーのデモを体験してください。
SCANTECHでも、3Dスキャナーの無料デモ体験を行っています。導入を検討されている方はぜひご利用ください。
Q.SCANTECHは、どのようなメーカーですか?
SCANTECHは、3Dスキャナーを取り扱う専門メーカーです。有名な光学測定会社のMetronorと連携して、ハンドル型3Dスキャナーやハンディ型3Dスキャナーを開発しています。
独自の知的財産権を保有しており、世界水準の3Dスキャナーを開発しているメーカーです。
まとめ
今回は業務用3Dスキャナーの正しい選び方をご紹介しました。
「精度」「測定速度」「測定範囲」「色の取得」「アフターサポート」などを比較して、要望に見合う機種を購入することが大切です。
しかし、3Dスキャナーの精度は、各メーカーの開発環境下での結果です。そのため、お客様が3Dスキャナーを利用する環境で必ずテストをしましょう。
SCANTECHでは、さまざまな3Dスキャナーの製品を取り扱っています。見積依頼も受け付けているため、ぜひ、お気軽にお問い合わせください。