ハンディ型3Dスキャナー「TRACKSCAN-P42」で自動車の3Dデータを取得する方法
ボール型で特有の形状をしているハンディ型3Dスキャナー「TRACKSCAN-P42」は、どのように使用するものかと質問を頂きます。
そこで、TRACKSCAN-P42の特徴や操作方法をご紹介します。この記事を読めば、TRACKSCAN-P42を利用して3Dデータを取得する方法が分かるようになるはずです。TRACKSCAN-P42で3Dデータを取得する方法は動画でもご紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
高精度な3Dデータを取得するためにも、各機種の特徴について理解しておきましょう。
TRACKSCAN-P42 の特徴
3Dスキャナー「TRACKSCAN-P42」は3つの特徴があります。
- 対象物にマーカーシールを貼る必要がない
- 1秒間に190万点の高速スキャンができる
- 3種類のスキャンモードが搭載されている
ここでは、それぞれの特徴について詳しく解説していきます。
対象物にマーカーシールを貼る必要がない
TRACKSCAN-P42の大きな特徴は、対象物にマーカーシールを貼らずに3Dデータが取得できることです。
マーカーの役割を担うターゲットが機器の周辺に付いているため、対象物にマーカーシールを貼らずに対象物を測定できるのです。そのため、自動車や文化財の3Dデータを取得する場合など、対象物にマーカーシールを貼りたくない方におすすめの機種です。
マーカーシールを貼る作業が不要のため、スキャニングの作業効率が上がります。
1秒間に190万点の高速スキャンができる
TRACKSCAN-P42は、34本のブルーレーザーが搭載されており2本ずつ交差しています。17本の交差したクロスブルーレーザーにより、1秒間に190万点の高速スキャンができます。そのため、3Dデータを取得するスピードの早さに驚くことでしょう。
さらに、スキャン範囲も500mm×600mmと他機種と比較すると広いため、大きな対象物の3Dデータを取得したい方や3Dスキャン速度に拘りたい方におすすめの機種です。
1秒間に190万点の高速スキャンができることが魅力ですが、スキャン精度も9.1㎥0.064㎜と高精度のため、安心してご利用して頂けます。
3種類のスキャンモードが搭載されている
TRACKSCAN-P42は「高速スキャン」「高解像度スキャン」「ディープホールスキャン」の3種類のスキャンモードが搭載されています。
- 高速スキャン:クロスレーザーを当てることで、高速スキャンを実現する
- 高解像度スキャン:平行レーザーを当てることで、高解像度スキャンを実現する
- ディープホールスキャン:深穴や死角などのスキャンが難しい箇所のスキャンを実現する
3つのスキャンモードを自由に切り替えられるため、あらゆる状況に対応しやすいです。
TRACKSCAN-P42で自動車の3Dデータを取得する方法
TRACKSCAN-P42の特徴を把握したら、装置を利用して3Dデータを取得していきましょう。TRACKSCAN-P42で3Dデータを取得する方法は以下の通りです。
- カメラとスキャナーの電源を入れる
- カメラとスキャナーをPCに接続する
- 自動車のボディ部分のデータを取得する
- 窓ガラスやミラー部分のデータを取得する
- データの後処理をしてSTLデータで保存する
ここでは、各手順について解説していきます。
1.カメラとスキャナーの電源を入れる
まずは、TRACKSCAN-P42のスキャナーとカメラの電源を入れます。各装置にある電源ケーブルをハブに差し込んでください。ハブの電源コードをコンセントに差し込めば、カメラとスキャナーの電源が入ります。
2.カメラとスキャナーをPCに接続する
次にTRACKSCAN-P42のスキャナーとカメラをPCに接続していきます。各装置のUSBケーブルをハブに差し込んでください。ハブから出ているUSBケーブルをPCに接続すれば、カメラとスキャナーがPCに接続できます。これで、PC上で3Dスキャンデータの出力ができる状態となります。
※詳しくは動画でも解説していますので、ぜひご覧ください。
3.自動車のボディ部分のデータを取得する
自動車の3Dデータを取得する場合は、ボディ部分から取得しましょう。対象物から30cmほど距離を空けて光を当てていきます。TRACKSCAN-P42の電源を入れて、ブルーレーザーを当てれば瞬時にデータが取得できます。
TRACKSCAN-P42は、1秒間に190万点の高速スキャンができる機種のため、データ取得の速さに驚くでしょう。
4.窓ガラスやミラー部分のデータを取得する
ボディ部分のデータを取得できたら、光を透過しやすい窓ガラスや光を反射するミラー部分のデータを取得していきます。
3Dスキャナーは、光を透過したり光を反射したりする箇所のスキャンを苦手としているため、専用スプレーを吹きかけてください。スキャンの専用スプレーを吹きかけることにより、光が照射できてデータが取得できるようになります。
5.データの後処理をしてSTLデータで保存する
自動車の3Dデータを取得できたら、下記のような後処理をしていきます。
- 3Dデータのノイズ箇所を削除する
- 3Dデータの点群をポリゴンに変換する
- 完成したデータをSTL形式で保存する
後処理の方法や、3Dデータの活用方法について詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてみてください。
関連記事:『3Dスキャンしたフィギュアを3Dプリンターで出力するまでの流れを徹底解説!』
TrackScan-P42で自動車の3Dデータを取得する際の注意点
TRACKSCAN-P42で自動車の3Dデータを取得する方法を紹介しましたが、高精度な3Dデータを取得するために以下の点に気をつけてください。
- スキャン範囲を理解する
- カメラとスキャナーの間に立たない
- スキャナー専用スプレーを厚く塗らない
ここでは、それぞれの注意点について解説します。
スキャン範囲を理解する
TRACKSCAN-P42のデュアルカメラセンサーは撮影できる範囲が決められています。幅広いスキャンエリアが魅力となっていますが、カメラを設置した場所から1.5m~4mの空間が適応範囲となっています。
この範囲に対象物を置かなければ、3Dデータは取得できません。そのため、デュアルカメラセンサーの範囲に対象物を設置してください。
カメラとスキャナーの間に立たない
対象物の3Dデータを測定する場合は、カメラとスキャナーの間に立たないようにしましょう。2つの機種のセンサーが障害物で遮られてしまうと、カメラセンサーはスキャナーの位置を特定できなくなります。
その結果、スキャニング不可と判断されて、スキャナーが一時停止の状態になってしまいます。このような状況に陥っても、2つの機種のセンサー間にある障害物を取り除けばスキャンが再開できるため安心してください。
スキャナー専用スプレーを厚く塗らない
光を透過する窓ガラスや光を反射するミラー部分には、スキャナー専用スプレーを吹きかけますが、厚塗りには注意してください。その理由は、厚塗りをしてしまうと塗膜の厚みが濃くなるため正確な寸法を測定できなくなるためです。
また、3Dスキャンデータの質も落ちます。そのため、経験や勘は必要になりますが、スキャナー専用スプレーは薄く塗るようにしましょう。
[補足]自動車の内装の3Dデータを取得したい場合の対処法
自動車の内装の3Dデータを測定すると細かい部分の取り回しがしにくく、データを取得できない場合があります。そのため、自動車の内装では取り回しが利くコンパクトなハンディ型3Dスキャナー「SIMSCAN」を利用しています。
自動車の内装をスキャンする場合は、測定箇所にマーカーシールを貼ってからスキャンしてください。
その理由は、スキャンするときに昇り降りを繰り返し、車が揺れてしまう場合があるためです。
マーカーシールを貼ってからスキャンすれば、車が揺れても綺麗に撮影することができます。
SCANTECHでは今回のような大型の対象物では、外装では幅広いスキャン測定が可能なTRACKSCAN、内装は小回りの利くSIMSCANやKSCAN-MAGICを用いてスキャンします。
各機器を揃えることが大変な場合は、三次元測定サービスでデータ取得をお任せする方法も1つの選択肢です。ぜひ、三次元測定サービスも検討してみてください。
TRACKSCAN-P42に関するよくある質問
最後にTRACKSCAN-P42に関するよくある質問をご紹介します。
Q.TRACKSCAN-P42のブルーレーザーは目に悪くないですか?
TRACKSCAN-P42のスキャンレーザーには「ClassⅡ」が採用されています。ClassⅡは400nm~700nmの波長範囲の可視光のため、3Dスキャナーで対象物をスキャンする場合には、健康の被害を気にする必要はありません。
しかし、意図的にブルーレーザーを直視すると目を傷める恐れがあります。そのため、ブルーレーザーを直視しないように気をつけてください。
Q.TRACKSCAN-P42をお試しで操作できますか?
TRACKSCAN-P42のお試し操作は、SCANTECH製品の販売代理店APPLE TREEに相談して頂ければできます。当社のショールーム見学予約をして装置を操作する方法と、現場出張を依頼して装置を試しに操作する方法があります。
導入に失敗しないためにも、製品の性能や重量、扱いやすさは購入前に確かめておくと安心できるはずです。もし、TRACKSCAN-P42に興味を持った方がいましたら、当社までお問い合わせください。
まとめ
今回はハンディ型3DスキャナーTRACKSCAN-P42を使用して、自動車の3Dデータを取得する方法をご紹介しました。正しい手順と注意点を押さえておけば、誰でも簡単に3Dデータを取得できるはずです。
自動車の3Dデータを取得すれば、愛車のフィギュアが作れたり、様々なことに活用できます。ぜひ、この記事を読んでTRACKSCAN-P42に興味を持った方は、SCANTECH社の販売代理店APPLETREEまでお問い合わせください。