マーカーシールを用いて3Dスキャンする方法!マーカーレス3Dスキャンまで解説
3Dスキャンを行う際に対象物にマーカーシールを貼る場合があります。例えば、特徴のない対象物をスキャンするとスキャンデータの繋ぎ合わせが上手くいきません。このような場合にマーカーシールを用います。
マーカーシールが特徴となりスキャンデータが繋ぎ合わせられて、精度の高いデータが完成させられるのです。
しかし、マーカシールを用いたスキャン方法をイマイチ理解できていない方もいるでしょう。また、大きな対象物にシールを貼る作業が面倒に感じる方もいるはずです。このような悩みを払拭するスキャン方法もあるため、理解を深めていきましょう。
今回は、マーカーシールを用いて3Dスキャンする方法やマーカーレスでスキャンする方法まで解説します。
マーカーシールを用いて3Dスキャンするメリット
まずは、3Dスキャナーの際にマーカーシールを用いるメリットをご紹介します。
精度の高いスキャンができる
3Dスキャナーは対象物にレーザー光線をあて、対象物から反射された光の角度や反射時間などで距離を計測し3次元座標を取得しています。対象物にマーカーシールを貼れば光の反射が強くなるため、3次元座標が取得しやすくなり、通常のスキャン方法より精度を高められるのです。
マーカーシールは光を反射する素材でできているため、対象物の基準(ポイント)の役割も果たしてくれます。そのため、薄い対象物の表と裏にマーカーシールを貼っておき、一周させながらスキャンさせれば、裏表の3Dデータを一括で取得できます。
非接触型3Dスキャナーで高精度なスキャンデータを取得したい場合はマーカーが必要です。マーカー不要の3Dスキャナーは測定精度が落ちてしまうことを理解しておきましょう。
特徴のない対象物をスキャンできる
3Dスキャンは、左右対称で滑らかな面を持つ対象物のスキャンを苦手としています。スキャンしたい箇所の特徴がキャッチできなければ、各データを繋ぎ合わせづらくなります。このような場合は、左右非対称にマーカーシールを貼る必要があるのです。シールが目印になるように、対象物にシールを貼れば特徴を持たない対象物のスキャンデータが取得しやすくなります。
3Dスキャナーマーカーを用いるデメリット
次に、3Dスキャナーの際にマーカーシールを用いるデメリットをご紹介します。
マーカーシール分のコストがかかる
3Dスキャナーを行う際にマーカーシールを用いるとコストがかかります。メーカーによって異なりますが、1000枚のシールで3,000円が平均相場です。小さな対象物を測定する場合でも30枚程度のシールは必要になるでしょう。
また、対象物に貼ったシールを剥がして再利用することはできません。そのため、3Dスキャナーを行う度にマーカーシール分のコストがかかってしまいます。
スキャン作業が非効率になる
3Dスキャナーを行う前に対象物にマーカーシールを貼る場合は、スキャン作業が非効率になります。高性能なマーカーレスな3Dスキャナーと比較すると、シールを貼ったり剥がしたりしなければいけません。
小さな対象物であれば負担は感じないかもしれません。しかし、自動車の外装を3Dスキャンするなど、対象物が大きな場合は作業負担が重いと感じてしまうでしょう。
対象物に触れられない文化財は不向き
文化財は保護されているため、基本的に触れることはできません。その理由は、文化財に触れて割れたり欠けたりする危険性を回避するためです。そのため、マーカーシールを貼ることができず、取得できるデータの精度が落ちてしまうのです。このような文化財の3Dデータを取得する場合には、マーカーレスの非接触型3Dスキャナーが使用されます。
関連記事:『文化財のデジタルアーカイブとは?活用事例もご紹介!』
マーカーレスでスキャンできる3Dスキャナーについては、後ほどご紹介いたします。次は、マーカーシールを使って、対象物をハンディー型3Dスキャナーでスキャンする手順について解説します。
マーカーシールを用いて対象物をスキャンする手順
マーカーシールを用いて対象物をスキャンする手順は以下の通りです。
- キャリブレーションを行う
- 対象物にシールを貼る
- マーカーシールと対象物をスキャンする
ここでは、各手順について詳しく解説します。
1.キャリブレーションを行う
まずは、3Dスキャナーと校正パネルを使用して、キャリブレーション(機器の調整)を行います。
ソフトウェアの画面上に適正のスキャン位置が表示されるため(黒色)、スキャナーの位置(青色)を重ねていきます。重ね続けていくと緑色のゲージが溜まっていき、OKが表示されればキャリブレーションの完了です。
2.対象物にシールを貼る
次に対象物にマーカーシールを貼ります。その際に、さまざまな大きさのシールを持っておくと便利です。対象物が薄い場合は、表面に6mmのシールを貼り、側面に3mmのシールを貼ります。
シールの貼り方ですが、対象物の形状を認識できるように、なるべく均一に貼らないようにしましょう。左右非対称にシールを貼るのがコツです。
3.マーカーシールと対象物をスキャンする
次に、3Dスキャナーを用いてマーカーだけを読み込んでいきます。マーカーを読み込んでおくと、3Dスキャンがポイントに沿ってデータを重ね合わせてくれるようになります。
その次に、対象物をスキャンしていきましょう。最初にマーカー位置を取得しているため、対象物を回転させても問題なくデータが取得できます。
また、3Dスキャナーのスキャンモードを上手く活用すれば、精度の高いデータが取得できます。データが取得できたら後処理をソフトウェア上で行っていきます。
マーカーシールを用いて対象物をスキャンするまでの手順については、YouTube動画でも解説しています。もし、動画を見ても、綺麗にスキャンデータを取得できない場合はお問い合わせください。当社の技術スタッフが対応いたします。
自動車の大型サイズのスキャンができる製品「TRACKSCAN-P42」
マーカーシールを添付などの作業効率化をしたい方はマーカーレス3Dスキャナーの使用をおすすめします。ここでは、おすすめの3Dスキャナー「TRACKSCAN-P42」の魅力をご紹介します。
マーカレスで対象物のスキャンが可能
TRACKSCAN-P42は、対象物にマーカーシールを貼らなくても認識できます。
ハンディ型3Dスキャン自体にマーカーが付いており、付属のスキャン認識トラッカーが3Dスキャナーのマーカーをキャッチして位置を認識する仕組みとなっています。そのため、マーカーシールを貼る必要がなくスキャン作業の効率化を実現できるのです。
大型対象物もスキャンが可能
TRACKSCAN-P42は、付属のスキャン認識トラッカーと赤外線レーザーによって、最大16mの対象物をスキャンできます。そのため、自動車や文化財のような大きな対象物の3Dデータを取得したいと考えている方におすすめです。また機械には干渉防止機能が搭載されているため直射日光のあたる屋外でも使用できます。
TRACKSCAN-P42を活用して自動車など大型対象物の3Dデータを取得する方法について詳しく知りたい方は、以下の記事を読んでみてください。
関連記事:『ハンディ型3Dスキャナー「TRACKSCAN-P42」で自動車の3Dデータを取得する方法』
多種多様なスキャン機能を搭載
TRACKSCAN-P42には、3種類のスキャンモード(高速スキャン、高解像度スキャン、ディープホールスキャン(測定が難しい深穴や視覚をスキャンすること)が搭載されています。3つのモードは自由に切り替えられるため、状況に合わせたスキャニングができます。
マーカーレス3Dスキャナーに関するよくある質問
最後にシールが不要のマーカーレス3Dスキャナーに関する良くある質問をご紹介します。
Q.レーザーパッチとレーザーポイントの違いはなんですか?
レーザーパッチを選択すると、ポリゴンチックな画面表示が表示されます。その一方で、レーザ-ポイントは点群表示になっています。なので、画面上に点群しか出てこなくなるため、対象物の形をソフトウェア上で確認したい場合は、レーザーパッチを選んでスキャンするようにしてください。
Q.特徴のない対象物もキレイにスキャンできますか?
高性能のマーカーレス3Dスキャナーを利用すれば、対象物にマーカーシールを貼らなくても3Dデータが取得できます。シールを貼ったり剥がしたりする手間が省けて便利です。
しかし、高精度な測定がしたい方はマーカーシールなしでスキャンした場合、測定精度が落ちるためにマーカーシールが必須となります。より精度の高いスキャンデータを求めたい場合は、マーカーシールがおすすめです。
まとめ
3Dスキャンでマーカーの位置を取得しておくと、対象物を回転させてもひっくり返してもデータを正確に重ね合わせてくれます。また、シールがレーザー光線を反射するため、3Dスキャナーと対象物の距離を正確に把握して高精度な3Dデータが取得できるのです。
しかし、シールを貼る作業は負担がかかります。大型の対象物の3Dデータを取得する場合は、より痛感するでしょう。このような問題はマーカーレス3Dスキャナーを利用することで解決できます。
マーカーレス3Dスキャナーであれば、文化財などの3Dデータも取得できるとして注目を浴びてきました。そのため、3Dスキャナーの作業に悩んでいる方は、効率化できるマーカーレス3Dスキャナーの購入を検討してみてください。
また、自分でスキャンすることに不安がある方は三次元測定サービスを利用して、技術スタッフにスキャン作業をお任せする方法もあります。ぜひ、三次元測定サービスも検討してみてください。