寸法測定・寸法検査とは?測定に便利な3Dスキャナーと三次元測定サービスのご紹介
ものづくりは大まかな流れとして、企画・設計・試作・量産の工程で進められます。試作や量産の工程では、寸法測定を行うことで機械設計や製造の担当者にフィードバックされ、より良い品質の製品が得られるようになります。また、寸法測定は不良品を市場に出さないためにも重要な工程です。
しかし、製品のサイズや形状によっては、従来の測定機器だと寸法測定ができなかったり、手間がかかったりしてしまいます。測定機器の使い方によっては、数値に個人差が出る場合もあるでしょう。
そこで今回は、検査が難しい製品を快適に測定できるハンディー3Dスキャナーの紹介、および寸法測定(寸法検査)の基礎知識について解説します。
寸法測定・寸法検査とは
ものづくりの現場における寸法測定、または寸法検査とは、製品の寸法が仕様や図面通りの公差内におさまっているかを確認することを指します。
検査を行い、寸法が規定外だった場合は、不良品として製品を除外することで、良品のみが市場に出回るようになります。
ただし製品数が多いと、すべての品を検査する「全数検査」が難しくなります。この場合は、仕様にてロットの一部を指定された方式で抜き取って検査する「抜き取り検査」が多く実施されます。
寸法測定・寸法検査の目的
寸法測定、寸法検査を行う目的は、主に以下の2点が挙げられます。
- 製造プロセスの改善
寸法測定(寸法検査)を行うことで、製品の寸法精度がどの程度出ているかを確認できます。
仮に精度が乏しかった場合、不良品の数を減らすためにも製造の仕組みを見直さなければなりません。
製造部門の担当者に検査結果をフィードバックすれば、加工や組立等の仕組みが改善され、より良い品質の製品が製作できるようになります。
- 品質の保証
寸法測定(寸法検査)は、仕様書の通りに製品が作られているのを保証するために行います。品質が保証されることで、製品として正しく機能できるほか、消費者が安心して購入できるようになります。
寸法測定器の種類
ここでは、寸法測定の現場で使われることの多い機器の一部をご紹介します。
- ノギス
対象物の長さ(外径)・内径・深さを測る機器です。本体のスライド部を親指で動かし、対象物をジョーで挟んだり、クチバシやデプスバーを差し込んだりして寸法を測定します。
- マイクロメータ
対象物をはさみ込んで長さを測る機器です。機種によっては1μmまで測定できるほか、ノギスよりも正確な測定が可能です。ただし測定できる範囲が0〜25mm、25〜50mmなど、フレームの大きさにより25mmごとに違いがあるため、対象物に応じたマイクロメータを用意する必要があります。
- ダイヤルゲージ
スタンド等に取り付けて、対象物の寸法の変化や平面度・傾斜度・同芯度などを測定する機器です。ダイヤルゲージの先端にある測定子を対象物に当てて、移動や回転した対象物の寸法変化を読み取ります。長さを測るよりも、基準に対しての差を測る場合に用いられます。
- CNC画像測定機
撮影した対象物の画像から形状を検出して寸法測定を行う機器です。非接触および高い精度での測定が可能で、製品の良否確認の用途で活用されています。しかし測定器のサイズが大きく、温度管理された測定室が必要になります。
- 三次元測定機
本体の上にセットした対象物に接触子を当てて三次元の座標を読み取り、寸法や形状などを測定する機器です。据え置き型で機械のサイズが大きいものの、さまざまな測定データを高精度で記録できます。
従来の寸法測定器の課題
ノギスやマイクロメータなど、アナログ測定機器を使用すると、対象物に接触させる位置や角度により、測定結果に違いが出てしまう可能性があります。
測定箇所が多いと、測定結果が得られるまでに時間やコストがかかってしまう点も課題として挙げられます。
また、比較的大きなサイズの対象物を測定する場合は、測定機器を移動させながら測定しなければなりません。測定機器も大型かつ精密なものだと、機器の持ち運びや運搬が難しいほか、使用できる環境が限られてしまいます。
これらの課題を解決する手段のひとつとして、ハンディー3Dスキャナーによる寸法測定があります。以下で、ハンディー3Dスキャナーのメリットについてご紹介します。
寸法測定の効率化にハンディー3Dスキャナーがおすすめ
ハンディー3Dスキャナーとは、対象物の形状を赤外線やレーザーなどの光を用いて物体の表面をスキャンし、測定できる機器のことです。従来の測定機器と比べて、以下のようなメリットがあります。
サイズがコンパクト
片手で操作できるほどのコンパクトなサイズなので、持ち運びしやすいほか、狭い場所にも対応するなど、幅広い環境下で測定ができます。
複雑な形状および大型サイズの測定に対応
対象物が複雑な形状で、アナログの手法では測定が難しい場合でも、ハンディー3Dスキャナーを用いれば測定が容易になります。機器によっては、車のような大型の対象物でもスキャンできます。
非接触型で、安全に測定可能
ハンディー3Dスキャナーは、非接触型の測定機器のため、対象物に触れずに離れた位置から測定できます。対象物に傷を付けたくない場合や、近づきにくい場所・モノの測定に便利です。
3Dデータで管理できる
ハンディー3Dスキャナーを用いれば、取得した3DデータからPC上で寸法測定や形状の確認が可能です。取得した3Dデータは、寸法検査以外にも、強度のシミュレーションやリバースエンジニアリングなどの用途でも活用できます。
上記のように、手作業では測定が難しい場合や、複数箇所の測定が必要な場合などは、ハンディー3Dスキャナーを用いることで、寸法測定を効率化できます。寸法測定の効率化を求めている方は、ハンディー3Dスキャナーの導入を検討してみてください。
SCANTECHでは、寸法測定におすすめのハンディー3Dスキャナーを複数ラインナップしています。おすすめの機種は以下の3つです。
- TRACKSCAN:中型~大型製品向けのハイエンドハンディー3Dスキャナー。マーカーシールが不要で黒色や金属など反射性の高い素材でも計測可能。
- KSCAN-MAGIC:小型~大型製品向け(4M~10Mクラスまで対応)写真測量(フォトグラメトリ)機能付きハイエンドハンディー3Ⅾスキャナー。5つのスキャンモードを搭載し、様々な用途に対応。
- SIMSCAN:小型〜中型製品向け(4Mまでの製品)小型軽量ハイエンドハンディー3Ⅾスキャナー。本体がコンパクトで狭い場所の測定にも対応。
各モデルの詳細な仕様については、それぞれの製品ページをご確認ください。
寸法測定に便利な三次元測定サービスのご紹介
ここでは、ハンディー3Dスキャナーの導入が難しい方向けに、SCANTECHの三次元測定サービスをご紹介します。
三次元測定サービスとは、当社の技術スタッフが全国どこにでも出張し、三次元寸法測定・形状比較評価・幾何公差測定の3つをご提供するサービスです。
また、既存の製品・部品などの形状を3Dスキャンして、お客様の用途に合う形式にモデリングする、リバースエンジニアリングサービスもご利用いただけます。
これらのサービスでは、非接触型のハンディー3Dスキャナーを用いて、対象物に触れずに形状や寸法を測定します。
アナログでの測定とは異なり、人が立ち入ることが困難な場所や湾曲した複雑な形状、自動車や飛行機のような大型対象物も測定が可能です。
三次元測定サービスで用いるハンディー3Dスキャナーは、以下の4機種をご用意しています。
- TRACKSCAN:マーカー不要で大型対象物の測定が可能な3Dスキャナー
- KSCAN-MAGIC:写真測量機能を搭載した3Dスキャナー
- SIMSCAN:小型サイズながら取り回し性や操作性の高い3Dスキャナー
- IREAL 2E:色やテクスチャーも再現できる3Dスキャナー
SCANTECHでは、さまざまな特徴をもったハンディー3Dスキャナーをご用意しているため、幅広い用途に対応できます。
三次元測定サービスの詳細や、使用するハンディー3Dスキャナーのスペックについて知りたい方は、以下のページからご確認いただけます。
3Dスキャナーの寸法測定に関するよくある質問
最後に3Dスキャナーの寸法測定に関する、お客様からよくいただく質問について回答いたします。
ハンディー3Dスキャナーの精度は?
ハンディー3Dスキャナーの精度は、製品によって異なるので、仕様をよく確認しましょう。また、メーカーによっても精度を表す基準が異なるので、詳しく知りたい場合は問い合わせてみるのがおすすめです。
SCANTECHが提供しているハンディー3Dスキャナー、TRACKSCAN・KSCAN-MAGIC・SIMSCANの場合は、0.02mm〜の精度になります。
(※精度はISO 17025ラボにて校正・VDI/VDE2634のテストをクリア)
SCANTECHでは、繰り返し測定した結果の平均誤差を精度としています。
各機種の3Dスキャナーの精度を知りたい方や、精度とは何かについて知りたい方は、以下の記事をご確認ください。
<<【参考記事】3Dスキャナーの精度はどれくらい?メリット・デメリットを合わせた解説
ハンディー3Dスキャナーの注意点は?
ハンディー3Dスキャナーは、対象物の表面が以下のものだと測定できない場合があります。
- 黒色のもの
- 透明のもの
- 光沢があるもの
- 鏡面的なもの
これらの表面だと、3Dスキャナーから発する光を吸収してしまい、正確なデータを取得できません。このような場合は、3Dスキャナー専用スプレーを吹きつけることで、データを取得できるようになります。
また、ハンディー3Dスキャナーを正しく扱うには、ある程度の技術や知識が必要です。
スキャンしたデータはCADデータではなく、そのまま検査に使うことはできないため、後処理の作業を行います。後処理に必要な作業は、専用ソフトウェアでのノイズ処理や、スキャンできない部分の穴埋め、必要なデータへの変換などです。
SCANTECHでは、当社のハンディー3Dスキャナーを購入されたお客様が、正しく機器を扱えるよう、3Dスキャナーやソフトウェアの使い方を解説しています。
まとめ
ものづくりにおける寸法測定(寸法検査)とは、製品寸法が仕様通りに作成されているかを確認することを意味します。寸法測定では、フィードバックを行い、より良い製品の作成に寄与できるほか、品質を保証する役割もあります。
しかし製品や寸法測定器によっては、検査に時間を要したり、多くの手間やコストがかかったりすることもあるでしょう。複雑な形状の製品や、大型の製品などで寸法測定にお困りの場合は、ぜひSCANTECHのハンディー3Dスキャナーの導入、および三次元測定サービスをご検討ください。
また、SCANTECHでは、お客様のもとへお伺いして、ハンディー3Dスキャナーのデモを行う「無料出張デモサービス」も実施しております。詳細については、以下のリンクからお問い合わせください。